第一章:出張の始まり

彩花(あやか)、24歳。入社二年目の彼女は、営業部の若手として日々忙しく働いていた。東京のオフィスで働く彼女にとって、今回の北海道出張は初めての大仕事だった。しかも、相手は直属の上司である佐藤部長、42歳。既婚者で、普段は部下に対してそっけない態度で知られる男だ。彩花は彼の冷淡な視線に慣れていたが、なぜか今回の出張では胸の内にざわめきを感じていた。
飛行機の窓から見える北海道の雪景色は、彩花の心を静かに揺さぶった。隣に座る佐藤部長は、書類に目を落としたまま一言も発しない。彩花は彼の横顔を盗み見る。鋭い目元、引き締まった口元。無駄のないスーツ姿は、どこか近寄りがたい威厳を放っていた。だが、彩花の心には別の感情が芽生えつつあった。なぜだか、彼の無愛想な態度が、逆に彼女の好奇心を刺激していた。
「佐藤部長、今回の出張、うまくいくといいですね」と、彩花は勇気を出して話しかけた。だが、彼は書類から目を上げず、軽く「うん」と答えるだけ。彼女は唇を噛み、窓の外に視線を戻した。心臓が少し速く鼓動していることに気づき、彩花は自分を叱った。「何を考えてるの、私。仕事に集中しなきゃ」。
第二章:一社目の夜
初日の商談は順調に進み、札幌の取引先との契約はほぼ確定した。佐藤部長の交渉術は見事で、彩花は彼の堂々とした姿に心を奪われそうになった。商談後、取引先の担当者が「せっかくの札幌、夜は楽しんでいってください」と笑顔で誘い、部長は珍しくその誘いに乗った。彩花は少し驚いた。普段の彼なら、こんな誘いは断るはずだ。
夜、彩花と佐藤部長は取引先の担当者とともに、すすきのの隠れ家的なバーに足を踏み入れた。薄暗い照明、ジャズの流れる店内。彩花はカクテルを手に、部長の様子を観察していた。いつもは硬い表情の彼が、今夜はどこかリラックスしている。取引先の担当者が席を外すと、部長は彩花に近づき、囁くように言った。「彩花、今日はよくやったな。助かったよ」。
その声は低く、どこか甘い響きを帯びていた。彩花の頬が熱くなる。彼女は自分の心臓がドクドクと脈打つのを感じた。「ありがとうございます」と答えながら、彼女は彼の視線に吸い込まれるように目を合わせた。そこには、普段の冷淡さとは異なる、熱を帯びた光があった。
酒が進むにつれ、部長の態度はさらに変わった。彼は彩花の肩に軽く手を置き、耳元で囁いた。「彩花、こんな場所で一緒に飲むなんて、初めてだな」。その手が彼女の肩を滑るように撫で、彩花の体は一瞬震えた。理性では拒否すべきだとわかっていた。既婚者だ。彼は上司だ。だが、彼女の体は別の反応を示していた。心の奥底で、抑えていた欲望が疼き始めた。
店を出た後、部長は彩花をホテルの自分の部屋に誘った。「もう少し話したいことがある」と、彼は言った。その言葉に嘘はないように思えたが、彩花は彼の目が別の意図を語っていることに気づいていた。それでも、彼女は断らなかった。ホテルのエレベーターの中で、彼の手が彼女の腰に触れた瞬間、彩花の理性は崩れ去った。
部屋に入ると、部長はドアを閉め、彩花を壁に押し付けた。彼の唇が彼女の首筋に触れ、熱い息が肌を這う。「彩花、君は知らないだろう。俺がどれだけ君を意識していたか」。彼の声は低く、抑えきれない欲望に震えていた。彩花の体は熱くなり、心臓は破裂しそうだった。彼女は目を閉じ、彼の唇を受け入れた。
部長の手は彼女のブラウスを剥ぎ取り、柔らかな肌を貪るように撫でた。彩花は喘ぎ声を抑えきれず、彼の背中に爪を立てた。彼の指が彼女のスカートの下に滑り込み、敏感な部分を探り当てると、彩花の体は電流が走ったように震えた。「部長…だめ…」と囁きながらも、彼女の体は彼を求めていた。理性と欲望の狭間で、彩花は完全に彼に委ねていた。
その夜、彩花は部長の腕の中で何度も絶頂を迎えた。彼の動きは力強く、どこか必死だった。彼女の体を愛撫するたびに、彼は彼女の名前を呼び、彩花は自分が特別な存在であるかのような錯覚に陥った。だが、行為が終わると、部長は静かにベッドに横たわり、彩花を見つめた。「これは…一夜の過ちだ。忘れろよ」と、彼は言った。彩花の胸に冷たいものが走ったが、彼女はただ頷くしかなかった。
第三章:二社目の情熱
翌朝、部長はまたいつもの冷淡な上司に戻っていた。商談中も、彩花に必要以上の視線を向けることはなかった。彼女は昨夜のことを思い出し、胸が締め付けられる思いだった。あの熱い時間は夢だったのだろうか。だが、彼女の体はまだ彼の触れた感触を覚えていた。肌が疼くたびに、彩花は自分を抑えるのに必死だった。
二社目の商談も無事に終わり、その夜、部長は再び彩花を誘った。「昨夜のことは忘れろと言ったが…俺には無理だ」。ホテルの部屋で、彼は彩花を抱き寄せた。彼女は一瞬抵抗したが、彼の唇が彼女の唇を塞ぐと、すべての理性が吹き飛んだ。彩花は彼のスーツを剥ぎ取り、彼の熱い肌に自分の体を押し付けた。
部長の手は前夜よりも大胆だった。彼女の胸を強く揉みしだき、唇で敏感な突起を愛撫した。彩花の喘ぎ声は部屋に響き、彼女は自分の声が恥ずかしいほど大きくなっていることに気づいた。だが、そんな羞恥心も、彼の激しい動きに飲み込まれていった。部長は彼女の体を隅々まで味わうように愛し、彩花は彼の欲望に応えるように体を開いた。
「彩花、君は俺を狂わせる」と、彼は囁いた。その言葉に、彩花の心は揺さぶられた。彼の妻の存在を思い出しながらも、彼女は自分の欲望を抑えきれなかった。この瞬間だけは、彼を独占したかった。彼女は彼の体にしがみつき、激しく腰を動かした。二人は互いの体を貪り合い、夜が更けるまで愛し合った。
第四章:三日目の覚醒
三日目の商談が終わり、彩花は疲れ果てていた。だが、彼女の心は昨夜の情熱でまだ熱く燃えていた。部長は昼間の仕事中、相変わらずそっけない態度だったが、彩花は彼の視線に隠された欲望を感じ取っていた。彼女自身も、最初は抵抗していたこの関係に、徐々に本気になり始めていた。
その夜、彩花は自分から部長の部屋を訪れた。「部長…私、今日は自分から来ました」と、彼女は恥ずかしげに言った。部長は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに彼女を引き寄せた。「彩花、君は本当に…危険な女だな」。彼の声は低く、欲望に満ちていた。
彩花は自ら服を脱ぎ、彼に体を委ねた。彼女の手は彼の体を愛撫し、唇は彼の肌を這った。部長は彼女の積極さに驚きながらも、彼女の動きに身を任せた。彩花の心は、もはや彼なしではいられないほどに熱くなっていた。彼女は彼の体を貪るように愛し、彼の名前を何度も呼びながら絶頂を迎えた。
「彩花、君は…俺のものだ」と、部長は喘ぎながら言った。その言葉に、彩花の心は喜びに震えた。だが、同時に、彼女は彼が既婚者である現実を思い出した。この関係に未来はない。それでも、彼女はこの瞬間を生きていたかった。二人は夜が明けるまで互いを求め合い、彩花は自分の心が彼に完全に囚われていることを自覚した。
第五章:東京への帰還
出張が終わり、東京に戻った。オフィスでの佐藤部長は、まるで北海道での出来事がなかったかのように、冷淡な上司に戻っていた。彩花に視線を向けることさえ少なく、彼女の心は空虚感に苛まれた。あの熱い夜、肌を重ねた時間は、すべて幻だったのだろうか。
彩花はデスクで書類を整理しながら、部長の姿を遠くから見つめた。彼の無愛想な態度に、彼女の胸は締め付けられた。あの夜、彼が囁いた言葉、彼女の体を愛撫した手、すべてが鮮明に蘇るのに、彼はもう彼女を見ていない。彩花は自分の心が彼に縛られていることに気づき、苦しんだ。
ある日、部長が彩花に書類を手渡す際、彼女の手が彼の指に触れた。一瞬、彼の目が彼女を見た。そこには、北海道での熱い視線が一瞬だけ蘇った。だが、彼はすぐに目を逸らし、冷たく「仕事、頼むぞ」と言った。彩花は唇を噛み、涙を堪えた。
彼女の心は葛藤で揺れていた。あの出張での情熱は、確かに存在した。だが、東京に戻った今、それは遠い記憶にしかならない。彩花は自分の欲望と理性の間で揺れながら、部長の背中を見つめた。彼女の心は、雪国での熱い夜を忘れられず、静かに燃え続けていた。
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